コロナ禍でMITに行き損ねた話

コロナ禍で世界が一変してしまった2020年.実は,今年4月からMITでポスドクをやる予定だった自分は,もろにコロナ禍の大混乱に巻き込まれてしまいました・・・.

日本がアメリカから入国拒否される?!→パンデミックから渡航中止へ

MIT行きに向け,米ビザ取得,国内引越し手配,住居の解約申込,航空券の手配も終えていた3月上旬,まだダイヤモンドプリンセス号が世界の注目を集めていた頃,突如として トランプ大統領が日本を入国拒否するかも? という報道が出ました.

入国拒否となれば当然MITには行けず,すでに現職の退職手続きも進めていたため,コロナで4月から無職になりかねません.

その後,ヨーロッパやアメリカの感染が急速に拡大したせいで,日本の入国拒否は立ち消えになりましたが,MITが閉鎖されたので結局は渡航延期に.ボスや事務の皆さんの多大なサポートのおかげで,退職手続きを何とか中止し,現職を続けられることになりました・・・

また,すでに解約申し込みしていた住居も,奇跡的に次の住人がまだ決まっていなかったおかげで,住み続けられることに.もし次が決まっていたら,緊急事態宣言下に当てのない引越しをしていたわけで,ここは本当に運に助けられた所だと思います・・・

エアカナダとの戦い

アメリカ行きで手配していた航空券はエアカナダ便だったのですが,3月中旬には欠航のお知らせが来ました.ところが,エアカナダはANAJALとは違い,返金に応じませんでした

正確には,手数料(3万円)を払っての現金払い戻しか,同額の「クレジット」に変換する対応しか行っていませんでした.この「クレジット」は曲者で,1年間という有効期限がある上,次のフライトが今より高ければ差額を払わなければならず,逆に今より安ければ差額が消失するという,エアカナダに都合のいい通貨,まさにエアカナダペリカです.

さっそく電話をしたのですが,これが完全に押し問答.1回目の電話では,キャンセル料については約款に書いてあって契約時に同意しているだろうと言ってきました.そこで電話を切って約款を読むと,エアカナダ側が欠航させた場合はキャンセル料が発生しないようだったので,再びその点を指摘すると,今度は「とにかく皆さんこの対応でお願いしている」との一点張り.役務を提供しないのは契約違反だから返金しろと言っても,「お願い」を繰り返すばかりで,全く話が進まない状態になりました.

航空会社が生き残りに必死なのは分かりますが,サービスを何も提供することなくキャンセル料だけ取って儲けようとしているわけで,めちゃくちゃ腹が立ちました.

その後,カナダ政府が今回のコロナウイルス危機では「クレジット」を配布する対応でも構わないという通知を出しました.このままでは返金どころか強制的に「クレジット」に変換されかねなかったため,妻と2人分のキャンセル料,計6万円で手打ちにしました.

緊急事態宣言・大学も封鎖へ

4月に入ると日本でも感染が拡大し,ついに緊急事態宣言に.大学もあっという間にキャンパス封鎖が決定され,研究室に行って,ゴミ箱を空にしたり使用しないプラグをすべて抜いたりと,慌てて封鎖措置を行いました.



学振はかなり頑張ってた

MITには海外特別研究員(海外学振)として行く予定でした.学振特別研究員の中には,3月に学位を取ったばかりで次のポストが海外学振1本という方も数多くいます.そこをコロナが直撃しました.

学振といえば雇用関係を頑なに認めないなど,労務に関してかなりの悪評があるわけですが,今回は国内に職がない海外特別研究員について,国内旅費相当額を支給する特別措置を講じました.もともと海外派遣用の予算だったのを転用して日本にいる人たちに配るわけですから,これは学振が相当に頑張ったのだと思います

とはいえ,月50万程度の支給*1が半額程度になってしまうわけで,かなり苦しい状況の方々は多いはずです・・・.周囲で力のある人達が,何とか支援してくれていることを願います・・・

Jビザが取り消される?!

6月になると,トランプ大統領が今度は非移民ビザを停止するという報道が入ってきます.当然,私のJ-1ビザも対象になる可能性があり,かなり気を揉みました.様々な情報がしばらく交錯した後,最終的にはJ-1のscholarカテゴリーは奇跡的に停止を免れ,MIT行き自体が無くなることは何とか免れました.



2021年に向けて

MITは9月から受け入れを再開したのですが,依然オンライン主体.また,家庭の都合もあり,現在は来年2月末からの渡航で再調整中です.

しかし,大晦日になって東京は1300人台の感染拡大があり,世界では変異ウィルスで次々に航空便が停止されるなど,依然として不透明な情勢.そもそも,3月もあと1ヶ月を切った段階から急転直下の渡航中止だった訳で,全く油断なりません.

完全にコロナに振り回された2020年.来年は何とか落ち着いてほしいものですね・・・

*1:例によってこれは給与ではなく旅費扱い