Booking.comの本当の予約情報を含んだ巧妙な詐欺メッセが来た

ちょうど来月に海外出張を控えているため、現地ホテルをBooking.comで予約した。それからしばらくした先日、Whatsappにこんなメッセージが届いた。

Dear Soma Tasuku,
Thank you for booking at 【予約したホテル名】
Check-in: 16.06.2026
Check-out: 20.06.2026
We have been informed that there may be an issue with your payment card on file. To ensure your reservation remains active, please verify your card details via the secure link below — this will take no more than 5 minutes and is not a payment:
【booking.bookguestconf91.comへのリンク】
If you have any questions, feel free to reply to this message.
Best regards,
The Reservations Team

実際に来たWhatsappのメッセージ

普段は見知らぬメッセなど100%詐欺なので即削除なのだが、今回は詐欺かどうかかなり迷った。何しろ、ホテル名と宿泊日時は、実際にBooking.comで行った予約と同じだったのだ! もしかして本物か…?

しかし、Whatsappで連絡が来るというのも妙だと思い、念のためリンク先のドメインを検索。何もヒットしないので、これは怪しいと思い、メッセ全文をCopilotに入れて「これは詐欺?」と聞いてみたら、やはり詐欺であるとのこと。危なかった!!

同様の手口はBBCなどで一部報道があるが、日本語ではほとんど見られない。 www.bbc.com


(2026/05/26 15:18追記)日本語でもJ-CASTニュースが報道していた.また,一部ホテルは自主的に呼びかけを行っているようである. www.j-cast.com www.j-cast.com www.keihanhotels-resorts.co.jp (追記終わり)


どうやら、今年に入ってBooking.comから予約情報が流出し、詐欺グループはその流出情報を利用して詐欺メッセを送っているらしい。リンク先はもちろん偽物で、カード情報を抜き取る。本物の予約情報を混ぜ込んでくるところが、かなり巧妙だった。

それにしても、BBCの報道では「情報が流出した顧客にはメールを送った」らしいが、そんなものは来ていない。やはりBooking.comはクソ。白タク業者だし。

Androidがフリーズしたので、電源ボタン長押しを繰り返したら、スマホが勝手に110番通報した話

この前、使っていたPixel 6aがフリーズした。まぁ、スマホもフリーズすることぐらいある。

いつものように電源ボタン長押しで再起動を試す。反応なし。あれ、音量+と電源長押しだったか?これも反応なし。やはり電源ボタンか。こうして、時間にして2分くらいだろうか、長押しを何度か繰り返していたら、突然、緊急通報モードが起動、スマホが勝手に110番通報してしまった!!!

何が起こったか分からないまま、慌てて「間違いです!!申し訳ありません!!!」と言う。電話口の警察は「承知しました〜」と言ってそのまま切ってくれたが、心臓バクバク、冷や汗ダラダラの体験になってしまった…

原因

Android 12以降には緊急通報の機能がある。端末設定によるが、例えば電源ボタンを素早く5回連打などの操作で、110番通報が自動的に実施される。夜神月の腕時計みたいな機能だ

youtu.be

動画を見れば分かる通り、カチカチカチカチと相当素早く押す必要があり、長押しでは本来起動しないはずの機能だ。しかし今回は、長押しの繰り返しで何故か起動してしまった。

恐らくこうだ。

  1. フリーズにより、OSの処理がほぼ完全に停止。
  2. このフリーズ中の2分間に電源ボタン長押しが複数回行われる。が、この電源ボタンイベントは、フリーズのため処理されずにOSのキューに溜まったままになる。
  3. 何かの拍子にOSの処理が再開。この瞬間、キューに溜まっていた電源ボタンイベントが一気に処理される
  4. そのため、OSからは電源ボタンが素早く連打されたように誤認識され、緊急通報モードに入ってしまった。

本来であれば、間違えて電源ボタンを連打したとしても、キャンセルのための画面が5秒間表示されるはずであった。しかし今回は、何しろ半分フリーズ状態だったため、キャンセル画面はほとんど表示が間に合わず、ようやく画面が表示された頃には、すでに緊急通報が実行された後であった…。

もちろん、これはかなりのレアケースだろうが、スマホがフリーズした場合は、どんなにゆっくりであったとしても、電源長押しは5回以上やらない方がよいかもしれない。

間違えて110番してしまったら

ちなみに、間違えて110番してしまった場合は、切らずに電話口で「間違えました」と伝えるのが良いそうだ。黙って切った場合、警察は折り返し電話をしてくる。それも無視すると、現場に来たりするらしい。

大規模言語モデルに確率パズルを解かせてみる

ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)は本当にすごい.教科書が豊富に揃っているような大学~大学院レベルのトピックであれば,かなり専門的な内容でも的確に解説してくれる(ように見える).また,言語モデルの名に恥じず,英訳・和訳はお手の物である.おおよそ,言語で処理できる対象に関しては,LLMの能力が(私を含め大多数の)人間を超えているように思える.

そこで,言語で扱いが難しい課題はどれくらいできるのかと考えた.具体的には以下のような問題だ.

  • 定式化のための良いnotationや記号がない問題(例えば,微積分・線形代数のように,扱いやすい記号がある分野は言語処理でかなり解けてしまう)
  • 言語で正確に表現するのが難しい(が,答えは正確に定まる)問題

私が思いついたのは確率パズルである.当然,モンティーホール問題や三囚人問題のような有名問題をそのまま出したのでは,すでに答えを丸暗記されている可能性が高い.そこで,『確率パズルの迷宮』に載っている「目隠し抽選会問題」を出題することにした.この問題の出典は『確率の理解を探る―3囚人問題とその周辺』らしいが,どちらも和書でネットにも情報がほとんどないため,LLMのデータセットに入っている可能性は低いであろう.

問題文

以下の確率パズルを解いてください.

下記のような抽選会が行われた。その中の(1)から(7)の各時点において、あなた(中村さん)のクジが「あたり」である確率を、それまでの司会者の発言(もちろん、100パーセント信じるものとする)をもとに計算すると、それぞれいくらとなるか。

部屋の中には、司会者を除き100人の人がいて、あなた(中村さん)もその 1人である。クジは101本あって、その中の1本だけがあたりである。また、あなただけは目隠しをさせられる。

司会者「今日は渡辺さんだけが2本、ほかの人は1本ずつ引いてもらいます」(1)

司会者「みんながクジを引きましたが、まだだれも中を見ていません」(2)

司会者「さて、みんなで自分のクジを開いて見ましょう。中村さんだけは 目隠しをしているので見えませんね」(3)

司会者「さて、はずれた人は1人ずつ部屋から出てもらいます。中村さんは このままお待ちください」

98人出て行ったところで、

司会者「ここでストップします。いま、まったくランダムな順番で98人が 出たところです」(4)

司会者「ところで、ここに残った人は、クジを2本引いた渡辺さんと目隠し をした中村さんだけでした」(5)

司会者「渡辺さんのもっている2本のクジのうち、はずれのクジを私がいた だきましょう」(6)

司会者「では、中村さん、目隠しをとってください。ご覧のとおり、結局、 中村さんははずれで、渡辺さんがあたりでした」(7)

結果

これをCopilot, ChatGPT, Geminiの3人(?)に出してみたところ,以下の通りとなった.*1

問題 Copilot ChatGPT Gemini 正解
(1) 1/101 1/101 1/101 1/101
(2) 1/101 1/101 1/101 1/101
(3) 1/101 1/101 1/101 1/101
(4) 1/101 99/199⚠️ 1/3❌️ 1/101
(5) 1/199 1/3❌️ 1/3❌️ 1/199
(6) 1/199 1/3❌️ 1/3❌️ 1/199
(7) 0 0 0 0

Copilotの全問正解には驚いたが,ChatGPTやGeminiは半分近く不正解となった.どうして,(5), (6)で確率1/3と答えたのかというと,「残りクジは渡辺さんが2本,私が1本なので,当たりは確率1/3」だからだそうだ.なんとこれは,完全にモンティーホール問題でよくある間違いそのものではないか!

また,ChatGPTとGeminiが(4)で確率の更新を誤って行った点も面白い.どうやら,ハズレの人が退出する前の,司会者の「中村さんはこのままお待ちください」に,何らかの情報があると解釈したらしい.

確かにここは,問題文が表している確率モデルが微妙な箇所だ.実験してみるまで気づかなかったが,「司会者は『退出してもらいます』と言った瞬間にハズレ99人の退出順をランダムに決定して,中村さんはその先頭98人に入らなかったので『このままお待ち下さい』と言った」という解釈も(かなり不自然だが)有りうると思う.この場合,Geminiの99/199は正解になる!だが,その解釈を取ったとしても,(5)(6)で1/3と答えるのはおかしい.

私と研究とLLM

確率パズルでは,背後に仮定されている確率モデルを正確に把握することが肝心だが,これを言語で簡潔かつ正確に表すのは至難の業である.また,数式や図を駆使しても,かえって煩雑になり本質が見えなくなることが多い.こういう,(広義の)言語化が難しい領域は,LLMにも難しいようである.まぁ,人間にも難しいのだが.

普段,私もよく論文で分からないところをLLMに質問するのだが,(私が知らない)分野の標準的な内容はズバッと答えてくれる一方,notationが微妙だったり,論文によって定義が違う(標準的な定義が定まっていない)ような比較的未発達な分野だと,ハルシネーションだらけで,自己矛盾した答えを出してくる印象がある.こうなると,チェックの手間ばかりかかって,結局時間を無駄にすることも多い.

数学もソフトウェアでもそうだが,調べ物やちょっとしたスクリプトには大いに役立つが,高度に整合的なものを作るのはまだ苦手なようである.むしろ,LLMでも自然に整合的になるような言語を我々がデザインすべきなのかもしれない.

*1:GPT-5 Thinking mini, Gemini 3 Pro, Copilot "smart"モードを利用した.