日本の、これから

NHKの『日本の、これから』はなかなか面白い番組だった。

  • 掲示板の管理責任

掲示板の書き込みに管理人は責任を負うか否か。掲示板という「場」を提供しただけの管理人に責任はない、というのは「管理人」としてはちょっと無責任すぎる。特に掲示板を商業運営する立場ならなおさらだ。とは言え、一番悪いのは書き込んだ当人なのは間違いない。後でも出るが、違法な書き込みの牽制の意味もこめて、ログを保管する必要があると思う。

  • 書き込みの削除

書き込み内容が事実か否かを判断するのは非常に難しい。やはり、削除依頼も含めた双方の情報を極力オープンにして、間違った情報が自然に淘汰されるのを待つしかないと思う。一握りの人間の基準で削除が決まるのは危険だろう。ただ、公益性のない書き込みをいくら削除しようと、それは自由だし、必要なときもある。

  • 子供のネット利用の制限

子供のネット利用には一定のフィルタリングが必要だ。しかし、何歳から何歳まで、またどの程度の制限が必要かは議論の必要がある。いつまでもネットから隔離し続けるのは、子供を必要以上に束縛することになるし、ネットへの「免疫」もつかない。かと言って、野放しというのもマズい。民主的な形でフィルタや基準が形成できればいいと思う。
中には「自動車と同じくネットにも年齢制限を」という意見も多々あったが、自動車のような物理的なスキルよりも、精神的な成長の度合いはさらに個人差・性別差が大きい。一律の線引きは適切でないし、技術的な難点もあるから、やはり各家庭に任せるしかないと思う。

  • ネットの匿名性

ネットを特徴付ける性質の一つが「匿名性」。ネットの光と陰の両面がこの性質に凝縮されている。ネットをネットたらしめる性質であることを考えれば、基本的に匿名性は現状のまま維持されるべきだ。ただ、保存する情報を制限した上でログを取ることは必要だろう。

  • ネットと国家

国家がネットを積極的に統制するのは危険である。言論統制の可能性を捨てきれないからだ。犯罪行為の罰則規定は当然必要だが、プロバイダーを一律国営化するなどという案には賛成できない。


最後に、社会のネットに対する理解がまだまだ一面的であることを指摘したい。番組内でも指摘されていたが、ネットとはリアル社会の投射に他ならない。ネット社会も現実の社会も、不特定多数の人間が形成するという点では何も変わらないからだ。現実の社会に犯罪がなくならないように、ネットでも犯罪は当然起きるのである。それを、あたかも「ネット」という特定集団が存在するかのごとく語る「知識人」が、特にマスコミなどの既存権威に、いかに多いことか。その点をまず理解しなくては、ネットに関する本質的な議論は成立しないだろう。
家庭にPCと共にネットが普及して、まだわずか10年。これからネットとどう関わるか、それを考えるにはまずネットを正確に理解することが欠かせない。