「思考盗聴」はインチキ
ニコニコ動画を見ていてら「電磁ハラスメント犯罪」という見慣れない単語が飛び込んできた。調べてみると、何やら「思考盗聴」なるものを受けているらしい。彼らの言う「思考盗聴」とは(自分で調べられた限りで)次の通り。
- 「思考盗聴」の「被害者」は四六時中頭に電磁波を照射されているらしい。(電磁波の種類はマイクロ波など様々)
- その電波によって「被害者」の思考内容が外部で観測可能になるらしい。
- それにともなって頭痛や手足のしびれなどの症状も出るらしい。
とまあこんな感じ。詳細は各自ググってみてください。
結論から言ってしまうとこんなものはもちろんありえない。現代の脳科学でも、脳波から高度な思考内容を解析する技術はない。さらにそれを遠隔でやる技術なんてあるはずがない。*1
ここからは医者でもない私個人の勝手な判断になるが、「思考盗聴」と言っている人は統合失調症の可能性が高い。調べてみたところ、統合失調症の症状の一つに「考想伝播(自分の考えが他人に伝わっていると感じる)」というものがあるらしい。
一番怖いのはこういった論が真実っぽく広まってしまうこと。今のところ「思考盗聴」のGoogle検索結果には「思考盗聴がある」というサイトが山のようにかかるので、広がりを心配して今日はこの記事を書いておいた。
※統合失調症は治療可能な病気だそうです。このような妄想に取りつかれる前に医師の診察を受けることをお勧めします。
*1:「電磁波で脳波を観測する」というからには、「盗聴者」が発した電波と、「被害者」にぶつかって再び「盗聴者」が受信する電波には、何らかの差がなくてはならない。差がなかったら何の情報も含まれていないことになるからだ。脳波は微弱なので、それとの相互作用が読み取れるような電波も相当微弱である必要がある。ところがこれを遠隔でやろうとすると、ある程度パワーのある出力が必要となってしまう。ここに矛盾が生じる。