『おおかみこどもの雨と雪』感想

細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』を観てきました。
以下ネタバレ注意





細田守監督の安定のクオリティで、今回も面白かった。背景描写や演出はサマーウォーズより数段パワーアップしていたし、アニメもすごい綺麗だった。以下、細かい感想。

  • 農家のおじいちゃん役で菅原文太を使うってすごいなぁ。
  • 冒頭のおおかみ男と花のなれそめで、割と生々しい獣k・・・、ベッドシーンがある。もしかして昼間に見る映画ではないのか・・・?
  • 登場人物がとにかく吐く。というか家族全員1回は吐く。吐いた具も描写される謎の徹底ぶり。
  • というか、虫もキモいし、血はダラダラ出るし、全般的にサマーウォーズにくらべてだいぶ生々しい。

一方で、ストーリーはサマーウォーズの方が好みだ。というのも、おおかみこどもの方は、見終わった後にいくつか疑問符が残ってしまったのだ。サマーウォーズは分かりやすいストーリーで、すっきり劇場を後にする感じだったのに。特に、登場人物の心情の変化や行動の理由がいまいち理解できなかった。そういうのにこだわって見る作品ではないのかもしれないけれど。

  • なぜ花は里の人々と打ち解けることができたのか?作中では、気難しい農家のおじいさんが実はあれこれ皆を説得していたということになっていたが、なぜそのおじいさんが花の面倒を見るようになったのかという疑問は残る。おじいさんの気まぐれといえばそれまでだが・・・。
  • 雨が川で溺れた後に性格が変わったのはなぜか?この後、雨は山の自然に傾倒していき、最後には狼として山で暮らす選択をする。その意味で、川で溺れることは大きなターニングポイントのはずなのだが、溺れることで性格が変わった理由がわからない。むしろ、狩りに失敗し母が悲しむ姿を見て、雨は二度と狼にはなることはなかった・・・という展開だと思っていた。
  • 花は遠吠えを聞いて、なぜ雨の選択を受け入れたのか?雨が狼寄りの行動を取ることを、直前まで花は拒否していた。しかしながら、雨が狼になって山を駆け上がり遠吠えをした途端、突然満面の笑顔になり「強く生きて!」と叫び、雨の選択を受け入れる。ここが演出的にもクライマックスであったようだが、自分は花の心境変化が分からず、展開についていけなかった。
  • 花は家から子どもが1人いなくなったことをどう説明するのか?ファンタジーだから、と言ってしまえばそれまでなのだが、そうもいかない理由がある。実は、2人がまだ赤ん坊の頃、家に児童相談所の人が来るシーンがある。世間から隔離して子育てする難しさを描く、かなり現実的なシーンがある以上、ラストの展開だけファンタジーだからで都合よく押し通すわけにはいかないはずだ(自分にはできなかった)。