夏休みの一冊 その5 『暗号解読』

その1で紹介した『フェルマーの最終定理』と同じサイモン・シンの2作目です。今回は暗号についての本。
日常生活で暗号に触れたと思う機会はほとんどないかもしれません。しかしパソコンでも携帯でもいいですが、インターネットをしているときに画面に鍵のマークが出たのを見たことはあると思います。あるいは“https”で始まるアドレスにアクセスしたことも一度はあるでしょう。実はその背後では暗号が密かに活躍しているのです。
この作品では、秘密を守ろうとする暗号作成者と秘密を暴こうとする暗号解読者の戦いを、暗号史とともに描き出しています。やはり今回も暗号をテーマにしながらも、その背景にあった人間ドラマがひしひしと伝わってきます。
前作『フェルマーの最終定理』よりも若干ページ数が多いので、文庫版だと上下2巻です。以前ハードカバー版でも読んだことがありましたが、文庫版では新たに巻末の懸賞問題の解答が追加されています。ハードカバー版は『長門有希の百冊』にも選ばれて、アニメ中でも長門が読んでいるシーンがありました。IT社会を支える暗号について理解が進む一冊。


暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)