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アンケート調査の報道を見たらまずは元の質問文を探そう

読売新聞「関関同立」新入生の6割、大麻入手「できる」という記事。

関西学院、関西、同志社立命館の4大学は、今春入学した大学1年生を対象にした「薬物に関する意識調査」の結果を発表した。
興奮や幻覚作用のある脱法ドラッグについて、4人に1人が「知っている」と回答。大麻の入手が「可能」と答えた学生も60%を超えており、各大学は「若者を中心に、薬物の乱用傾向が拡大している。今後の学生の意識動向に注意を払いたい」と警戒を強めている。

え?新入生の6割が大麻の入手方法を知ってるの?どんだけ大麻広まってるんだよ」と思った人も多いだろう。しかし、調査した大学が発表した調査結果を読むと、実は話がまるで違うのだ。
まず、元の質問文と選択肢は、本当は次のようなものであった。

共通質問18 あなたは、大麻を手に入れようとした場合、それはどの程度むずかしいと考えていますか。
1. 絶対不可能だ
2. ほとんど不可能だ
3. 少々苦労するが、なんとか手に入る
4. 簡単に手に入る
5. わからない


3または4と回答した人を合わせて62.5%だったので、読売は“大麻の入手が「可能」と答えた学生も60%を超えており”と書いたのだろう。ところが、実際には、大麻を入手しようと思ったらどれだけ難しいと思いますか?という話で、具体的な入手方法を知っているかどうかとは無関係なのである。例えて言うなら、「あなたは、100Mを10秒台で走ろうと思ったら、どれくらい難しいと思いますか」という質問をして、60%の人が「毎日ひたすら練習すればなんとかできるかも」と答えたのを見て、「新入生の60%が100Mを10秒台で走ることが「できる」」と見出しを打つようなものだ。

さらに、上で3または4を回答した人には、追加の設問がある。

【共通質問18で「3」「4」 に○をつけた人だけお答えください。】
共通質問19 あなたが、手に入ると考える理由はどのようなことですか。
1. 入手する方法は知らないが、報道等で大麻に関する事件が増加しており、簡単に入手できると感じるから
2. 入手する方法は知らないが、簡単に手に入ると聞いたことがあるから
3. インターネットなどで販売されているのを見かけたことがあるから
4. 入手する方法を知っているから
5. その他


なんと、「可能」と答えた理由の実に92.8%が、入手する方法は知らないが聞いたことがある or 報道を見て簡単に手に入るんだろうなと思った、という理由だったのだ。あたかも「新入生の6割が大麻の具体的な入手方法を知っている」と書いた読売の見出しは、完全なるミスリードとしか言いようがない。


教訓: アンケート調査の報道を見たら必ず元の問題文を探そう。大抵のアンケートは結果が公表されている。報道はアンケート結果をねじ曲げて伝えることがよくある。

おまけ:

統計はこうしてウソをつく―だまされないための統計学入門

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この本には、ある調査が女子大生に「男性からアルコールや薬物を飲まされて、望まない性交をした事がありますか」と質問し、「女子大生の1/4が強姦された事がある」と結論したが、実際に答えた女子大生はその行為を強姦だとは思っていなかったという話が載っている。