数学と社会の関わり

今日は数学と社会の関わりについて書いておきます。Twitterでつぶやいてたことのまとめっぽくなっています。


今月号の『数学セミナー』は「数学がいま期待されていること」というタイトルで、主に社会と数学のつながりについて書いていました。
数学科の就職といえば、金融(アクチュアリーとか)か教諭かSEかの3択というのが公式には定番です。「公式には」というのは、大学が真面目に推進しているかどうかという意味です。例えば私の通っている京都大学理学部数学系には、保険数学の講義があります。教員免許も希望すれば取れます。SEは微妙なところですが、計算機科学の講義もあるので全く講義がないわけではありません。ですが、それ以外の選択肢については無視です。*1


この選択肢の少なさというか視野の狭さには日々疑問を持っていました。もっと数学を役立てることのできる分野があるはずだろう。その疑問に今月の『数学セミナー』は「産業と数学のつながり」という答えを出してくれました。中でも、九州大学の数学系の博士後期課程では、長期インターンシップがあるというのに驚きました。九州大学は、産業と数学の連携というユニークな取り組みを行っているようです。
数学を勉強しているけど社会に出て役に立てるのかなという人には、今月の『数学セミナー』は読むと面白いのではと思います。Web上にある情報だと、朝日新聞グローブ (GLOBE)|数学という力 Power of Mathematicsも近い視点で書かれた記事です。


もともと、純粋数学ではなく組合せ最適化のような応用数学に行ったのも、どちらかというと「役に立つ」数学に興味を持ったからでした。だったら工学系の院に行った方がいいんじゃないかなあ、とか色々と考えていたそんなときにこういう記事を読めたことは非常にラッキーでした。社会には数学の大きなニーズがあるというメッセージは、数学を続けていいんだ!*2という勇気をもらった気がします。


数学を専門に勉強していき、何らかの形で社会に数学を役立てることのできる人材になることが目標になりました。今のところは研究者を目指していますが、どのような道に進むのであれ、数学に没頭するあまり社会と断絶した人材*3だけにはならないようにしたいと思っています。

*1:京大は放任主義なので、自分の行きたいところがあれば勝手に自分で行けということなのでしょうが

*2:エヴァ26話でシンジくんの言ってた「僕はここにいてもいいんだ!」的なアレです

*3:つぶしの効かない人間ともいう