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風呂桶とコリオリの力

実家でTVを見ていたら、こんな映像があった。「赤道に行き、水の溜まった容器*1の栓を抜く実験をする。赤道から1m北に行くと反時計回りの渦を巻いて水が流れる。逆に、赤道から1m南に行くと時計回りに渦を巻く。そして、赤道上では渦を巻かない(!)」その後、解説のVTRが流れた。地球は自転によって「コリオリの力」*2が働いており、それによって北と南で渦の方向が違うのだ、と。そして、印象的に北半球と南半球の台風の向きが逆であるイラストが映っていた。
何か、聞いた事がある人が多い話だろう。だがこの実験は非常に怪しい。その理由は2つ。

1. 1m動いただけでコリオリの力の方向が著しく変化するか?

地球の半径は約6400kmもある。その周上で1m移動したとしても、中心から見た角度は、たった10万分の1°しか変化しない。これでは赤道上にいると言っても変わらない。

2. コリオリの力は小さい

コリオリの力自身は、重力に比べてかなり小さいコリオリの力が影響を与えるのは台風など時間が長くて、とても大きな渦に限られる。風呂桶の渦のような、小さくてすぐ終わってしまうよう渦にはほとんど影響しない。


たぶん、スタッフはあらかじめこの話を信じていて、実際に幸運にも(?)撮影に成功したか、あるいは予測と逆であったのを「失敗」と判断してカットしたのだろう。赤道上で渦を巻かないようにするのは結構大変だったに違いない。*3

何となく話だけ知っていると騙されそうになる話だ。実際に、ご当地ケニアには同様のパフォーマンスを行う「バケツおじさん」がいるらしい*4。この商売、中途半端に知識のある人間しかターゲットにできないので、なんか収益が悪そうな気もするが・・。

ともかく、北半球と南半球で風呂桶の渦の向きが変わるのは間違い。うまい話に騙されない。

*1:小さい風呂桶みたいな構造だった

*2:実際には「コリオリの力」なんて単語は使わなかったが

*3:意外とありがちな、先入観による実験データの操作。

*4:[http://www.sakusha.net/nanyuki.html:title]