今更だが児ポ法改正に反対しておく

児童ポルノ法(児ポ法)を改正しようという動きがあるらしい。児童買春に手を出す奴をビシバシと取り締まっていく方針には大賛成なのだが、今回の改正しようとしている中身を見ると賛成できない内容がある。
改正の骨子は小寺信良:「児童ポルノ法改正」に潜む危険 (1/3) - ITmedia LifeStyleに詳しいが、以下の2点だ。(同記事から引用)

  1. 現行法が禁じていない単純所持も違法化・処罰の対象にすること
  2. 被写体が実在するか否かを問わず、児童の性的な姿態や虐待などを写実的に描写したものを「準児童ポルノ」として違法化すること

この改正の要点は、持っているだけで捕まることと、絵だろうがCGだろうが取り締まり対象になるということだ。これには日弁連が反対意見を提出している。*1私も以下のような問題があると思っている。

法律的な問題

そもそも、児ポ法が保護すべき(保護法益ともいう)は実在する被害児童の権利であるはず。被害児童が存在しない図画に関しても取り締まりを行うことは、児ポ法の目的を逸する。仮にわいせつ性が高く目に余る場合も、刑法のわいせつ物陳列罪などで十分に対応が可能である。

規制の根拠の問題

準児童ポルノ」の規制によって、実際の児童買春などの犯罪が減少するというデータは存在しない。

表現の自由の問題

児童ポルノの定義が拡大した上、基準があいまいである。これは恣意的な運用を招き、表現の自由を侵害する恐れがある。

所持の問題

児童ポルノの定義があいまいなまま単純所持も違法化すると、これも恣意的な運用を招く危険が高い。極論、持っているものから怪しいものを見つけ出して、それで逮捕では危なすぎる。


以上のように問題も多いので私は今回の改正に反対します。


こういった話をするときに一番問題なのが、向こうに「児童買春を取り締まる」という大義名分があることだ。反対する奴には「何だこのロリコン!性犯罪者!」と言ってしまえば、そこで思考停止させることが可能なわけだ。このあたりは人権擁護法案と同じような根っこがある。
だが、やっぱり目的が正しいからと言って方法を間違えては元も子もない。大義名分だけでなく中身もしっかりと見ていくことが大切だと思う。

*1:[http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/2003_09.html:title]