夏休みの一冊 その1『フェルマーの最終定理』

どうせなんで、夏休み中に読んだ本(文庫本を中心に)を紹介していきたいと思います。
今回はサイモンシン著・青木薫訳の『フェルマーの最終定理』です。文庫版が結構前に出ていたのですが、なかなか見つけられなかったのです。ところが今年の「新潮文庫の夏の100冊」にこの『フェルマーの最終定理』が入ったので、書店の文庫本コーナーに行けば大抵は置いてあると思います。
フェルマーの最終定理」といえば数学の難問(だった予想)なのですが、実際この本を読むのに数学的知識はほとんど必要ありません。中学生程度の理解があれば十分です。著者のサイモンシンは難しいことを噛み砕いて、しかも本質的な部分を失わずに伝える文才の持ち主です。
この本で描かれているのは「フェルマーの最終定理」という1つの定理の証明にまつわる、約3世紀にわたる数学者たちのノンフィクション・ドラマです。中には谷山豊や志村五郎といった日本人の名前も見えますし、負けると分かっていた決闘前に必死で自分の研究成果を残したガロアの物語や、そして定理を証明したワイルズの苦悩の日々も描かれています。つまり、これは数学書というよりは、人間ドラマなんです。
という訳で、『フェルマーの最終定理』、みなさんもどうですか。

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)